【永楽食堂レポート】秋田を離れて9年経ち、ようやく地元の良さを感じられるようになってきた

紀行・レポート

秋田市出身、千葉県在住の28歳女です。

学生時代は「秋田には何もない」「寒いし人が陰気」「自殺とか癌とかワーストに入りすぎ」と地元秋田に良い印象はありませんでした。

しかし地元は腐れ縁みたいなもので結ばれているので、ただただ嫌うのも何だかもったいない。

そう思っている時に、ちょうど千葉で田舎暮らしを始めたことで、「郷土料理」「独自の文化」などに興味が出てきました。地元秋田は全国の中でも独特の文化が多いようで、「不便だけど、不便ってことは、もしかしたら独特で面白い場所かもしれない!」と好意を持つように。

日本酒が好きになったことで、その好意はより膨らみました。秋田は日本酒の聖地なのです。

1週間の秋田帰省の中で二度「永楽食堂」さんにお邪魔したので、写真多めに記録したいと思います。

永楽食堂を知ったきっかけはYouTubeの「しげ旅」

国内外を旅する「しげ旅」さんの秋田ver.で「永楽食堂」が出てきたのがきっかけです。ちょうど日本酒が飲めるようになってきたタイミングだったので、日本酒天国である永楽食堂に興味津々。

帰省する1ヶ月前、家族に「永楽食堂に行くよ」と連絡をしたところ、「●●(いとこの名前)がバイトしてたところだよ」との返事。

こういう世界の狭さ感じるから地元が嫌いでしたが、今は「ご縁ですね」「じゃあ行かなきゃ!」と前向きに思えるので、やはり地元への気持ちが好意的に傾いていることを感じます。

3週間前に予約するも、土曜日はすでに満席状態

わたし「11/22(火)16:30と11/26(土)19時頃で予約したいのですが〜」

永楽食堂の人「11/26は16時半からの1時間半しかお席がなくて……」

わたし「(3週間前なのにマジか〜!)了解です!16時半でお願いします!」

11/26については本当は19時頃に予約したかったものの、電話にて「16:30からの1時間半しか空きがありません」との返事。

3週間前でもすでに席が埋まっていて、相当人気なことが分かりました。

特に土日は早めに予約することをおすすめします。

16時半ちょうどに開く永楽食堂のシャッター

16時25分はまだシャッターが閉まっていました
平日の16時半にもかかわらず続々と人が集まってきます。子供連れはNGなようで、入店を断られていました。

両日とも16時25分頃にお店の前に着きました。開店前というのに、平日は7人くらい、土曜は10人以上が並んでいました。16時半時点で10人以上が並ぶ居酒屋に出会ったのは初めてです。

永楽食堂の周辺の居酒屋には全く人がいないのに、ここだけ異世界。

入り口で「予約していますか?」と聞かれます。

「予約していません」と答えた未予約の方は入店をお断りされていました。ちょっとかわいそう。

1名ならカウンターに入れそうなものですが、カウンターすら予約客で満席のようです。さすがの人気。

カウンター席からの景色

11/22は一人で、11/26は母親と2人で訪れましたが、両日ともにカウンター席に通されました。カウンターの5席は特に密で、お隣さんが近めです。

カウンター席の目の前にはお惣菜がズラリ

目の前にお惣菜が並んでいることもあり、座っているだけで店の文化に染まってしまうようなお店です。

いとこが大学時代にバイトしていたと聞いていた通り、従業員はほとんどが大学生くらいの若い子でした。秋田大学の学生さんが多いのでしょうか。そんな気がします。

お通しは湯豆腐と白魚

白魚と湯豆腐

着席すると30秒ほどでお通しが運ばれてきます。2種類あるのがまた嬉しい!お通しはおそらく400円くらい。

湯豆腐は「あぁ、おつまみってこれでいいんだよ」という気持ちになります。手間はかからないし、安いし、美味しいし。「これでいいんだよ、こうなんだよ」という納得感。しらす、昆布、ネギが乗っていて飽きない美味しさです。

新政や十四代を始めとした豊富な日本酒メニュー

左側「あだえ」は秋田弁で「よその方」みたいな意味だと思います
右側「おらえ」は秋田弁で「我々の方」みたいな意味だと思います

永楽食堂は、とにかく日本酒のメニューが豊富!壁一面に日本酒の名前が貼り付けられています。

左半分「あだえ」は秋田県外のお酒。

右半分「おらえ」は秋田のお酒。秋田の有名な日本酒は一通り味わえるのではないでしょうか。今回は新政No.6がありませんでしたが、タイミングが悪かっただけだと思います。

45ml×3の利き酒3種は900円と破格です。1200円以下のお酒であれば、どう組み合わせても900円で飲めてしまいます。

わたしはなかなかお目にかかれないお酒を飲みたかったので、十四代飲み比べ-竹-(1400円)を注文。

十四代-竹-は純米吟醸。山田錦、愛山、雄町。
純米吟醸酒
お隣のおじさまも十四代を注文していました

日本酒歴4ヶ月のひよこ(28)ですが、「こんな美味しい日本酒があったのか!」と感動。日本酒好きの友達が以前「美味い日本酒は水なのよ」と言ってた意味が分かりました。完璧に美味しい水でした。蟲師に出てくる「光酒(こうき)」は十四代のことだと思います。

喉のピリつく感じやアルコール臭が一切なし。旨味が強く、上質な水としか言いようのない美味しさでした。

個人的には山田錦がまろやかで特に美味しく感じます。

カウンターの中にいるお姉さんにお水をお願いすると、10秒くらいで届けてくれました。チェイサーのことを「和らぎ水」と呼ぶことを最近知りましたが、名前が可愛くて良いですね。こういう日本っぽい名前が好きです。

十四代のお次は、利き酒3種(900円)を注文。

利き酒3種(900円)
ボトルを目の前に置いてくれます。忙しそうでも置いてくれます。

選んだのはこちら。

山本アイスブルー(秋田県)
新政 亜麻猫 スパークリング(秋田県)
赤武(岩手県)

山本はスーッとした感じで、十四代とは方向性がだいぶ違う感じ。日本酒初心者の女子には、ちょっとスーッとしすぎていたかも。

新政 亜麻猫 スパークリングは酸味が強い。「うーん、わたしは甘い方が好きかも。少なくとも酸味が強いのは好みじゃなさそうだ」という感想。

しゅわしゅわで雪が舞うような美しさの新政亜麻猫スパークリング

赤武は飲みやすくて好きな感じでした。日本酒初心者の女にとって敷居の低いお酒だと思います。

お次は花邑の3種飲み比べを選択。なんと750円。

十四代の系譜と言われる花邑の3種飲み比べ(750円)

十四代の方が指導したこともあり、十四代系の味と言われているようです。詳しくはググってみてください。確かに方向性が似ていて飲みやすく、素直に美味しく感じました。

十四代は(少なくとも秋田県の)酒屋ではなかなかお目にかかれないようですが、花邑は時期さえ合えば町の酒屋さんで購入できます。

菅久商店
酒のQoobe

この2店舗では、時期が合えば花邑が購入できると判明しました!

特に菅久商店さんは永楽食堂から徒歩2分くらいの場所にあるので、のぞいてみると良いかもしれません。基本的に720mlではなく一升瓶で売っているようです。

続いて雪だるま(栃木)。

雪だるま2種飲み比べ(500円)

絵柄が特徴的です。母親が飲んだのを少しもらっただけなので味は忘れましたが、普通に飲みやすかった!真っ白なのでどぶろくみたいな味がするのかと思いきや、そんなことありませんでした。

にごったお酒は見た目が美しく、ぜひ冬の雪国で飲みたいです。

お刺身や揚げ物メニューもほとんど500円以下で美味しい

お酒だけじゃなく、食べ物もお手頃価格。都内の3分の2くらいの値段でしょうか。

きりたんぽ、なすくじら(かやき)鍋、せりサラダ、だだみなど秋田の名物もしっかり味わえます
イワシポテトフライ(500円)

永楽食堂さんの名物らしきイワシポテトフライ。イワシのフライの中にポテサラが入っています。トロトロしてて美味しい。家で作るのはだいぶ面倒くさそうなので、食べられて良かった。500円。

ホタテの刺身(550円)

貝柱はもちろん、ひももついてきてめっちゃ美味しかったです。永楽食堂さんの中では高価格なメニューかも。

イワシの刺身(350円)

いくら原価が安いとはいえ、350円でイワシの刺身をたっぷり食べられるなんて幸せだ!脂が多めでしたが、ネギや大根がたくさんついてくるのでさっぱり食べられました。

炙りしめ鯖450円

炙りしめ鯖は特に美味しかったのでおすすめ!量も満足感あり。むしろ一人だとちょっと多いくらい。

玉ねぎが添えられていて、ポン酢で食べるのが美味しかったです。

お通し+炙りしめざば+日本酒1合 ←これなら1500円でサクッと飲めてコスパ最強かも。

蓮根海老しんじょう揚げ500円

けっこうなボリュームでお腹にたまるので、一人で行くときは注意!

だだみ(たらの白子)天500円

「だだみ」とは、秋田弁では「たらの白子」のこと。トロトロのだだみ天。だだみの刺身もありました。

あん肝ポン酢450円
厚揚大根250円

驚異の250円メニュー!原価が安いとはいえ、250円メニューはお財布に優しすぎる。近くのおじさまが頼んでいたので、真似して注文しました。

優し〜い味の出汁もついてくるので、箸休めにちょうど良かったです。何より安い。

ただ出汁がけっこう多めに入っているので、厚揚げを箸で切ろうとするたびに、出汁がビシャっと飛びました。笑

この他、豚の角煮やなめろうもいただきました。どれも安定的に平均を超えてくる美味しさです!

あえて個人的お気に入りランキングを作るならこんな感じです!

1位:炙りしめ鯖
2位:イワシポテトフライ
3位:イワシの刺身

お惣菜は作り置きスタイルですが、毎回温めなおしているのか、温かい状態で出てきます。揚げ物も温かくて、しっかり美味しい。

秋田の友人いわく「塩ラーメン(500円)も美味しいよ!」とのこと。ラーメンやカレー、チャーハンなどもあるので締めに炭水化物を食べたい方にもおすすめです。

11/22、11/26ともに1時間半滞在して18時に退店。特に急いだ感覚はありませんが、ゆっくり話すなら2時間くらい見ておくと良さそう。

日本酒レベル初心者の28歳女的には、日本酒の利き酒を2回頼んでちょうど良い感じでした。45ml×6なので、270ml。1合半ですね。

お会計はこんな感じです。

11/22(一人で訪問):4,750円
11/26(母と二人で訪問):6,700円

けっこうな量を食べたわりにはお安く済みました。都内で同じ量を食べたら、1万円近くいってた気がします。

さいごに

お客さんは地元民と観光客が半々くらいなのか、28歳女一人でもアウェー感を感じることなく楽しめました。(と言いつつ若い女性客は見かけませんでしたし、そもそも女性の一人客はいませんでした。)

お客さんの地元感、なまり感もそんなに感じません。

お隣のおじさまは新幹線で東京から秋田に旅行で訪れ、昼間は鶴の湯温泉に入り、夜は永楽食堂にやって来た様子。「日本酒好きなら外せない!」と幸せそうに十四代-松-(2200円)を飲んでいた姿が印象的で誰かの旅の目的になる居酒屋っていいなぁと思わされた日になりました。

秋田に訪れることがあったら、ぜひ日本酒天国の永楽食堂に行ってみてください〜!

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